リュック1つ

先週は時間が空けば、昭和記念公園に出向き読書をする時間を沢山

作っていた。ヘッドフォンから流す音楽はクラシック音楽、

目の前には美しい新緑が広がり、太陽がさんさんと照らされる中、

好きな本を読む。

こうした時間は、自分にとって日常の中でとても大切な時間だと言う事が

改めて感じられた日々だった。

 

先週は、自分に「カツ」を入れる週だっただけに、読んでいた本は

最も尊敬するデザイナーのシャネルの本だった。改めて読み返すと、

これまでは気にしていなかった話が気になったり、自分とは違う点を発見したり…色々な感情が

湧き出てきてとても楽しめた。

 

シャネルの残した言葉で一番有名な言葉は、

「 翼を持たずに生まれてきたのなら 翼を生やす為にどんな事でもしなさい 」

 

この言葉に影響された人は、何万人といるだろう。いや、時代を遡ると、何億の人にもなると思う。

私もその一人だ。十代からシャネル信者となり、何度もこの言葉に支えられてきた。

 

今回、読んだ内容の中で一番印象的だったのは、ヨーロッパで一番お金持ちの男性から求婚された

にも関わらず、それよりも仕事を選んだシャネルが、死ぬ前に選んで生きた環境が

一つの仕事場と、寝るためのホテルの一室、クローゼットには洋服二枚だけだった。という事が

衝撃的な事実だった。

 

私はよく人生を山登りに例える事が多い。山登りをする時には、本当に必要な物しか

リュックに詰めて登らないだろう。人生で本当に必要な物はリュック一つに全て入るくらい

本当は身軽なものなのだと思う。

私は、三年前に画家という仕事を引退した時点で、何もかもを山の麓に置いてきた。

物も、環境も、人脈も、死に物狂いで積み上げた実績も。

そして、まっさらな状態から、新しい山登りに挑戦しようと何をリュックに詰めるのか

吟味していた三年間だった。

 

そんな中、今朝、自分で詰め込まなくても、神様から詰め込んでもらったリュックが

目の前にあった事に気が付いた。いつの間にか、本当に必要な物だけを神様は用意

してくれていたのだ。それを見てさあ、そろそろ、登り始めるよという合図なのだと確信した。

 

人生で本当に必要なモノものは何か?

もう一度、自分のリュックの中身を整理してみようか。

本当はもっと、荷物は軽く出来るかも知れないね。