メイドインジャパン

大昔、銀座の画廊で勤務していた頃があって、その時に一緒に働いていた

スタッフの中に美食家の女性がいた。

その人は、休みになると色々なレストランへ出向き、食事することが

趣味の一つだと言っていて、都内のレストランについて、とても詳しかった。

その彼女が言っていたのは、チョコレートだけは高級なチョコレートはまずい。

安いチョコレートの方が断然美味しい。と言っていた事をよく覚えている。

 

確かに、高級なチョコレートは見た目がエレガントで美しいのだが、

色々と詰め込みすぎていて、味がしつこくなっていると感じる事は多い。

 

そんな中、運命的なチョコレートに先日、出会ってしまったのだ。

 

用事があって、伊勢丹を歩いていると、お菓子売り場にたどり着き、その売り場の中で

お客さんが殺到している店があった。そんなに沢山の人が集まる店なら

何か面白い物が売っているのかな?と興味本位で見てみると、、、

一瞬で、恋に落ちてしまったのだ。

見た目が美しく、個性的で、アートを感じ、尚且つ美味しそうなチョコレートが綺麗に陳列されていた。

 

その店の名前は、bel amer (ベルアメール)というチョコレート店だ。

 

私は、大勢の女性達の中に紛れ込み、悩みもせず商品を入れるカゴを手に取り、

その個性的なチョコレートをいくつか選んで、即買いしてしまった。

 

並んでいる商品を見ると、同じチョコレートなのに表情が一つ一つ違っていた。

あとから調べると、大量生産の店なのに、一つ一つ、手作りで作っているから

表情が変わるようだった。小さなチョコレートを、一つ一つ手作業で作っている事も

素晴らしいのだが、更に調べると日本の小さな店から、規模が拡大したという。

 

少し前に、コラムに書いた、コーヒー豆店の「やなか珈琲」の時も同じ事で感動したのだが、

手が込んでいる店ほど、規模を拡大するのは難しいと思う所、

このベルアメールもクオリティーを保ちつつ、拡大化しているのが本当に凄いと思う。

 

気になる味はというと、繊細に作り込まれていて、くどすぎず絶妙に美味しいチョコレートだった。

そして、なんて言っても、ずっと見ていたくなるようなアート的なデザインが

素晴らしい。

 

バブル期は、外国の物がもてはやされていたけれど、

時代は変わり、現代は日本人の繊細な職人魂が、国内で評価される傾向にあると思う。

 

ベルアメールは、京都にも店舗があり、京都の店舗は京都らしいチョコレートを

作っている様だから、いつか行きたい店の一つとなった。

 

大昔、勤務していた銀座の画廊で共に働いていた、美食家のスタッフに教えて

あげたい。見た目も、味も、最高な高級チョコレートがあったという事を。

 

 

さあ、今週もチョコレートでも食べながら、素敵な一週間を過ごしていこうか。