コーヒー時間

私が画家をやっていた頃、アトリエを河口湖に構えていた事があった。

その時は、都内からお客さんが訪問してくる事がよくあり、

庭で採れたハーブなどを使って、料理をもてなしたりもした。

お客さん側からも、お土産などを頂いたりして様々な思い出がある。

 

私は元々、コーヒーはあまり飲まない方だったのだが、当時

お客さんからお土産で頂いた、河口湖の個人でやっているという、

小さなお店のコーヒーを頂いた事がキッカケで、コーヒーが好きになった。

 

その頂いたコーヒーは、酸味がなく少し甘めの味で奥行があり、香りも豊かなコーヒーだった。

あまりにも美味しくて、私のそれまでのコーヒーに対する概念が打ち砕かれて、

外出先でも美味しいコーヒーを求めて飲み歩くようになったのだ。

 

しかし、その時に頂いたコーヒーを上回るコーヒーにはなかなか出会えず、

コーヒー専門店に行ったとしても、なかなか唸るコーヒーに出会うのは難しい。

 

そんな中、インターネットで存在を見つけて気になっていたコーヒー専門店があった。

「TARO'S COFFEE ROASTERY」という名前のカフェではなく、豆の量り売りの店だ。

存在が気になってはいたけれど、お店の場所がいまいちわからず、しばらくそのままでいたのだが

ある朝、ジョギングのコースを変えた時に、たまたまこのお店の前を通り過ぎ、

見つけてしまったのだった。

 

その日、見つけた事が嬉しくなり、営業時間を待ち早速、豆を買いに行った。

お店には十種類くらいの豆があり、その場で淹れて貰えるドリップもあったので

家用の豆のほかに、ドリップも頂いた。

 

河口湖で頂いたコーヒーとは違う味わいではあったけれど、十分に唸らせて貰えるコーヒーに

出会えた感触だった。そして翌朝、早速買ってきた豆を飲んでみると、香りがとにかく良かった。

味も深みがあり、まろやかで奥行もしっかりとあって、とても美味しかった。

 

私はハマると、とにかくハマってしまう性質の為、昨日飲んだのとは違う種類のコーヒーも

飲んでみたくなり、友達を連れて二日連続でドリップコーヒーを買いに行った。

二日目に飲んだコーヒーは、店主が酸味があるコーヒーと説明していた通り、

酸味のあるコーヒーではあったが、嫌な酸味の味ではなくフルーティーな味わいで

奥行もあり、酸味があるコーヒーが苦手だった私が、初めて美味しい酸味に出会えたと

思える様なコーヒーだった。

 

コロナ時代の今、カフェなどを利用しながらコーヒーを楽しむよりも、

こうして、豆を買い、家でコーヒーを楽しむ人が多くなったと思う。

 

でも、どうせなら極上にいい豆を、極上に良い手法で飲む拘りを持ち、

家の中で最高のコーヒーを飲むのも、いい時間の過ごし方ではないかと思う。

 

きっと、最高のコーヒーを家で飲むようになれば、飲んでいる間に聴く音楽も

変わるだろうし、飲むカップも自然と拘っていく。

 

たった一杯のコーヒーが、生活をガラリと質のいいものに変えてくれるだろう。

 

私もまだまだ、コーヒーには詳しくはないが、このTARO'S COFFEEとの出会いが

きっかけで、美味しいコーヒーをもっと美味しく飲めるようになりたいから、

今日、これからドリップ道具を買いに行こうと思う。

 

では、いってきます。