12月は1年で最も、ショートケーキの需要が高まる時期だろう。
私も、クリスマス気分を味わう理由で様々なお店のショートケーキを
食べ歩いたりしている。どのお店も、個性豊かで同じショートケーキでも
店によって全く異なる物に仕上がっているから、比較するのも楽しみの
一つだ。
そんな中、先日オープンしたばかりという立川に出来た「kashinoki-coffee」
というカフェに行ってきた。コロナ営業からのスタートと言う事で、
テイクアウトのみの販売だったけれど、コーヒーで有名なFUGLENと、
ONIBUSのコーヒーを提供しているという拘りのある店だった。
お店がある場所は立川でも南口で、人通りが少なく駅からも少し離れていた。
立川は、北口の方は新開発されてとても華やかな町にはなっているが、
南口となると昔からあるビルが連なり決して華やかな雰囲気ではない。
なので、立地を考えると南口の駅から離れた場所に、新店舗を出すのは余程いい店でないと
集客が難しいのは、素人の私でも分かる事だった。
お店に着くと、佇まいがまるで代官山にあるようなオシャレな作りになっていて
思わず写真を撮りたくなるようなお店だった。テイクアウト専用の入り口からショーケースを
見ると、ショートケーキとティラミスの二種類のケーキが紙コップに入っていて、
ケーキの概念を覆す、新しい発想のケーキだと面白さを感じた。
ケーキと言えば、パテシエが腕を競っていかに美しいビジュアルに仕立てるか。
そんな世界なのだと思っていた。しかし、この店のケーキは技術のない
アルバイト店員でさえ作れそうな紙コップケーキなのだ。
もしも、本格的なケーキを作るパテシエが見たら、こんなのケーキじゃない!と
言いそうな作りだけど、ただのお客の私から見れば余計な物をそぎ落とし
持ち運びやすいディリーな新しい発想のケーキだと好感を持てた。
しかし、ここまでシンプルに仕立てると、問題はケーキの味にかかっていると思った。
もしも、美味しくないケーキなら当たり前だが、わざわざ足を運んでまで買いには行かないだろう。
この日はFUGLENのコーヒーと、ショートケーキを買い込み、家へと持ち帰り食べてみた。
すると、1口目から印象深い味わいのクリームが口に広がり、美味しくて手が止まらなかった。
シンプルがゆえに、味にかかっている事を良く理解している緊張感さえも
伝わってくる味だった。
コーヒーもさすがFUGLENだけあり、少し酸味が強いと感じたが、
ケーキとのバランスがとてもいい味だった。
このように、立地というリスクを背負っても、拘りやインパクトを感じる
新しい発想の物を提供すると、お客というのは「ついで買い物」ではなく
「わざわざ買い物」をしてくれるようになる。
立川に新しく出来た「kashinoki-coffee」。この店は、これからも
新発想を出し続けて、お客の楽しみを作り続けてくれる店となるだろう。
私も常連客の一人となる事は間違いない。